“女なんだから体は大事に”

なんて言葉は今はもう忘れた。


オトナなんだし、それ相応に対応しなくちゃいけない。


律儀にエッチは付き合ってから、なんて

そんなのこっちは待ってるほどオトメじゃないのよ、年齢的に。


女だって性欲はあるし。

好きでもない人とエッチする時もある。



軽はずみな行動..とまで言われたら返す言葉はないけれど。


でもあたしだって女、人間なのだ。

本能的に動いて何が悪いの?



「随分な顔ね、もしかしてまた男とやっちゃったの?」


着替えて休憩室に行くと、いつものように友人の詩乃が呆れた声を上げた。


彼女は残念だけれどまだオトメでいたい人間らしい。


「詩乃だって、昨日は西島さんと逃げたじゃん」

ぶうっとふくれっ面をしながら缶コーヒーのプルタブを開ける。


「あれはそんなんじゃないんだってば」

「でも告白されたんでしょう?」

「告白っていうかあれはでも多分そういうんじゃないと思うんだけど」

そういうんじゃなければどういうのよ。

突っ込んでやりたいけれどそこまでする元気は出て来ない。


やっぱり昨日飲み過ぎたせい?

「それに..西島さんあんたの事結構聞いてきたしさ」