「やばいやばい~!」


何で休憩室が9階にあるわけ?


確かにうちの百貨店って有名だよ?それなりに歴史あるし。

テレビや雑誌にも何度も載ってるし。

でもね、もっとみんなが使いやすい場所にして欲しいなとも思う。

表向きだけじゃなくて!!!

...まぁメーカー勤務のあたしは何も意見出来ないけどさ。


「んじゃあたし1階だから~」

いつの間にかあたしよりも先に階段を下りた千尋が悪戯っぽい笑顔を見せる。

「へいへい、あたしはもうひとっ走りしますよ」

千尋に手を振ろうとすると


「あ、今日定時で上がれるよね?」

急な呼びかけについ足を止めてしまう。

こんなとこでこんな話してる場合じゃないのに。


「うん、多分ね。大口がなければ、の話だけど」

大口、っていうのは大量注文のこと。


一人のお客様が30箱とか持ち帰りがあったら、それは残業は確定だけれど。

ここ1週間くらいは売り場も落ち着いていたし。

今日は生憎の雨。

ご来店するお客様は大抵天気や曜日に関係してくる。


「了解、んじゃ夕方からの合コン、遅れないでよね!」


またか...

ったく千尋ってば口を開けば合コン合コンって・・


「はいはい」

そう答えて手を上げると再び階段をおり始めた。