恋するデパートガール



「俺はいつも粗品にしてくれって頼んでるよなぁ!!なんでそれが
今回そんなちんけなやつなんだよ!!」

いきなりの大声に肩が震える。


「今野、どうなの?」

小さな声で聞くと

「確かに心ばかりと言われました」

「本当なのね?」

「はい」


怯えの後ろに隠れているはっきりとした意志。

大丈夫、あたしはこの子を信じられる。


「お客様、恐れ入ります、私共がお伺いした際には確かに心ばかりと伺いましたが」

「うるせぇんだよ!!こっちはいつも他店で粗品って言ってるだろーが!!!」

ばんっとケースを激しく叩く。


「滝本様、いかがなさいましたか?」


騒ぎを聞きつけた西島がこちらに向かって走って来た。

「おお、あんたか、それがな」



悔しい悔しい。

こいつも話を聞いたら絶対に同じ事を口にするんだ。

あたしが、あたし達が間違ってるって

そう言ってるんだ。


「接客したやつはどいつだ!!」

滝本様が西島さんに説明してから再びあたしたちを睨む。

「私です」

一度今野を見てから、ケースの前に出る。

大丈夫、あたしが責任持つから。