今日はご来店されてるお客様も少ないし。店内は比較的に落ち着いている。
そのおかげでスムーズに仕事が進んだ。
「それ滝本様の分?」
あと1枚で名入れが終わるって時にいきなり声をかけてきたもんだから
「ちょっとー!失敗しちゃったじゃないの!!」
声のする方向に睨む。
「げ、またあなたですか?」
新しい熨斗紙を出してると
「それ、滝本様だろ?」
西島が同じ質問をしてくる。
「だったら何だって言うんですか?」
「西島様から連絡があった。彼はうちのお得意様なんだよ」
それってつまりは
「高越百貨店のですか?」
質問返しにこくんと頷く。
「いつもは他店で注文されてるらしいんだけれど、
今回はなぜか君のところでの注文なんだな」
「そうみたいですね。休憩中に後輩が受けたみたいなのでわからないですが」
「そうか・・あれ、表書き、いつも粗品だったのにこころばかりって言ったわけ?」
「え?」
「滝本様はいつも商品をお買い上げになる際は表書きを“粗品”にされてるんだ」
「そんな、でも確かに後輩は・・・」
「君はその場で聞いてないだろ?確かに合ってるって言い切れる?」
「それは・・」


