「けーちゃんっ!」


目の前に転がるでかい図体を力一杯揺する。

時計の針は無情にも8時を回っていて、諦め半分の私はそれでもこいつを起こさなければいけない。


「こらっ、圭介!おーきーろーっ!」


バシッといい音が鳴る。

叩いた掌がジンジン痛んで、多分、こいつの背中にも同じ痛みが走ったはずだ。


なのに……


「っ、んー……」


安らかな寝顔の眉間にしわが寄っただけで、起きる気配は微塵もなかった。


「このやろー、」


自分でもビックリするくらい抑揚がない棒読みな声。

ふつふつと湧き上がる殺意。


そんな私に気づくことなく、すやすや眠る圭介が憎い。