いくら意識がなかったとしても、こいつとだけは、こんな関係になりたくなかった。


「キエ、俺たち、まさか」

「いやー、大変だったよね。あんたかなり酔っちゃってさ、誰だこいつって感じだったよ」

「…………」

「しかもいきなり抱きついてきて離れないし、終電逃すし、先輩たちは使いもんになんないし」


抱きついたのか、俺。全っ然、思い出せねーんだけど。


「あー、もしかして、変な思い違いしてる?」


なにを思ったか勢いよく起き上がって布団を剥いだキエ。俺は急いで顔を逸らした。