渡された赤色の袋。


「重たい方、持ちますよ」

「いいからっ!佐山は私からのだけ持ってればいいの、モテると思われたら嫌だから」

「……これ、先輩が俺に?」

「なによ、悪い」


突然ぶっきらぼうな喋り方になった先輩。これは照れたときになる癖だ。


「ありがとうございます」


俺を置いてスタスタ歩いていってしまう先輩を追いかけて、顔を覗き込む。


「佐山は、私だけが好きでいればいいの。分かった?」

「先輩、かわいいっスね」

「……うるさい」





【君だけの甘い香り】

(鞄の中のチョコは内緒)



end.