僕は荷物を纏めて教室を出る
謙に会いたい、話がしたい
今思えばこの時既に謙を好きになっていたのかもしれない
「おうおう、そこの別嬪さんなねぇちゃん。オイラと遊ぼうぜー」
なんて声が聞こえてくる
その声を辿って行くと、そこには猫にナンパしている謙が居た
「橋本さん、何してるの?俺も混ぜてよ」
「ふむ、隊員に入りたいのだな。ならば入れてやろう」
何の隊員だよってツッコミそうになったけど、そこは笑って堪えた
「白石隊員は器用な人間だな。よく自分を偽れる、そこは高く評価してやろう」
僕は木の小枝を振り回して歩く謙の数歩後ろを着いて歩く
「そう?俺にはそんなつもり無いんだけどな」
なんて嘘
ホントは、正直疲れた
王子様って呼ばれるのも王子様で居続けるのも
でも、そんなキャラを作ってるなんて思われたくない
「白石隊員、隊長に嘘を吐くとは何たる事だ!罰としてこれからは自分の事を僕と呼びなさい!」
木の小枝をビシッと突き出されて、僕は溜息を吐く
「はい隊長。これからは僕って言います」