『“砂希”の方だ、って言ったら?』
ちょっとだけ挑発してみた。
「あ、あんた嘘ついてたのね!?」
『気付かない方が悪い』
こんなウソにだまされるなんて、ね。
『よく聞いて』
「何よ、偉そうに!」
もうヒステリック状態かも、この人たち。
あたしは息を吸って、声のトーンを下げて言った。
『梨沙と朝日の仲を邪魔したり、梨沙を傷つけるようなことをしたら、あたしは誰であっても絶対に許さない』
声が変わったことに驚いたのかは分からないけど、女子たちは黙った。
『もしそんなことがあったら、あたしはもう容赦しない』
――わかった?その時は覚悟して。
そんな意味を込めた目線を女子4人に送った。
「……そう。あんた、自分なら別にいいって言ったわよね」
女子Aは、ニヤリと笑った。
『それが?』
何か企んでるな……。
すると、女子Aは1歩前に出てきた。
「神谷さん、3歩下がって」
『……は?』
「いいから早く」
ほらほら、と急かされて3歩下がった。
何の意味があるの?
――ドンッ!
『わっ』
女子Aに思いっきり突き飛ばされて、扉が開いていた体育館倉庫の中に尻もちをついた。
『痛っ、急に押さないでよ、何?』
女子たちは、あたしを見下ろして笑ってた。
「あんたさぁ、偉そうでムカつくのよ。しばらくあたしらの視界に入らないで」
バンッ!ガチャガチャ
扉を閉められて、多分鍵もかけられた。
――――ヤバい。
倉庫の中は真っ暗で、何も見えない。
