すると、あたしと菜々の横を砂希が通り越していった。


『あ!砂……』

「なに?あたしも“砂希”が待ってるから行くよ」


『……そっか』



あたしと話したことを……無かったことにしようとしてる?



砂希と梨沙はとてもよく似た双子。

あたしは、砂希があたしに近づいてこない原因が、もしかしたらそこにあるんじゃないかと思ってる。



詳しくは、わからないけど。

あたしも、間違えてしまった身だけど。


ここに居るのは、確かに――――。



『ありがとうって、“砂希”に伝えておいて』


砂希が“そう”するなら、あたしは口を出せないし、合わせようと思う。

それでも、さっき話したことはあたしの中に残ってる。


言葉をくれた“砂希”が、いる。



砂希は、一瞬目を見開いてからクスッと笑った。


「意味わからない」


そのまま、屋上を出ていった。


『菜々、行こう?』



「……あの子じゃなくていいの?」


菜々の少しだけ不安そうな顔が、嬉しいなんて思ったら怒られるかなぁ。


『菜々がいいの!』

「……じゃあ、行こっ」

あたしたちの雰囲気は、ぱっと明るくなった。




あのね、砂希。


あたしは砂希とは違って、ちゃんと知ってるの。

そばにいてくれる大事な人に気付いてる。



それにちょっとだけ優越感を抱いて、あたしは菜々と屋上をでた。


――――――


(自分の選択に振り回されて、)

(改めて大事なことに気づく)




――end.