『せ、いや』


「大丈夫ー?砂希ちゃん」


『うん……あ、ありがと』


「どういたしまして」


……いや、そうじゃなくて。


いつからいたの?


「チャイム鳴ってからすぐここにきたんだよー」



――コイツの変に鋭いところはあまり好きじゃない。



「……おい」


「一夜は黙ってて、砂希ちゃんと俺がお話し中だから」



2人がこんな風に同じ空間にいるなんて。

夏に、あの空き教室にいたときからは想像もできなかっただろうな。


でも、静夜はふざけながら間延びした話し方。


それに少し悲しくなる。

いつまでその仮面をかぶっているのか、と。



「なんて顔してるの」


『別に』


表情にだしたつもりはないけど、静夜には気付かれたみたいだった。


「そうそう、本題に戻るんだけどね」

『あ、うん』



そして静夜は、あたしが眠っていた時にしていた電話の内容を話してくれた。