『何もないよ。2人とも友達』


これが一番話が長引かないはず。



「何も、って…。じゃあ今の…」

『ただのスキンシップだから』


麻弥の言葉を遮って自分の言葉をかぶせた。



梨沙があたしを見てるのがわかる。

けど、何を言いたいのか、どんな目で見てるかはわからない。



良くて友達、悪くてたまに話すクラスメイト。


片思い、なんてなんの関係にもならない。



「つまんないのー」


「麻弥ー」


麻弥が少しふくれたところで、教室のどこかから麻弥を呼ぶ声がした。


「なに菜々ー。今行くー。じゃ、国語の回答ありがとう梨沙」


「どういたしまして」


教室のどこで誰が呼んでいるのかがわかる麻弥に少し感心した。


でもいつも一緒にいる菜々ならわかるか、なんて納得した。



麻弥がぱたぱたと菜々の所へ行った後。



「砂ー希」


『んー?』


梨沙が少しショボンとした声であたしを呼んだ。