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季節は寒い冬へと動いていた。

窓の外では、ちらちらと細かい雪が降っている。


季節が動き、時間も流れた。



「梨沙ー、アンタどうせさっき返された国語のテスト1番だったんでしょ」


「どうせってなに」

「え、違うの?」

「いやそうだけど」


……梨沙と麻弥の距離が変わった。

2人が会話しているのを不思議がる人も少なくなったくらいに。



いいことなのに、満足感でいっぱいにならないこの心は何?



「さっきのテスト聞き損ねたところあるから梨沙の見に来たの」


「……他の人の見せてもらえばいいじゃん」


梨沙の方が若干冷たいし口数も少ないけど、きっとそれは梨沙の照れ隠し。



「誰に聞いても正解した人いないし、あとは梨沙くらいじゃない?」


「……はい」


「ほらやっぱりあってるじゃん」


でもそれは麻弥もわかってる。


だから2人はうまくいってる。




――ポン。


突然。


一瞬温かい何かがあたしの頭にふんわりのった。

けど、すぐにその温度は離れていく。



何か、は後ろを振り向いてわかった。




――あたしの後ろには誰もいなかったけど。