〈……だからね。あそこで終わりにしたくなかった。

……仲良くなってみたかった〉



梨沙とメールをしながら適当にノートをとる。


あたしのシャーペンがとまった。




……小学校の高学年くらいから友達はいなくなった。


あたしたちはお互いがいればそれでよかった。



――梨沙は朝日と再会して新しい一歩を踏み出した。



また一歩、進もうとしてる。



《仲良くしてみればいいじゃん》



〈“仲良く”のしかたがわからないんだもん…

それに……さ……〉



梨沙の返信の最後が曖昧で、あたしはすぐに返信を送った。


《それに、何?》



次の梨沙のメールは少し遅くなった。



〈………麻弥は朝日のこと好きじゃん〉




それでも、

それでも麻弥は――…。



《麻弥は梨沙に気持ち言ってた。

“楽しかった”“嬉しかった”ってさ》



麻弥、すっきりした顔だったじゃん。




〈うん……〉



でも梨沙の返事はどこか不満気。


《じゃあ、ライバル。

ライバル同士が仲悪くなきゃいけない、なんて決まってないでしょう?》



隣の人の動きくらいは、その方向を見なくても人間の目には見える。


梨沙は携帯を見てしばらく止まっていた。




そしてあたしの手が、携帯のバイブによって震える。



〈麻弥は……認めると思う?〉




きっとあたし達は、

友達と呼んでいた人たちを自分から手放した時にいろいろ落としてきたんだ。



だけど、その落としたものが何かはわからなかった。


ただぽっかりあいてるだけ。



そのまま、人には線を引いて関わろうとせずに臆病になってた。



……だから麻弥がその線に触れたとき、驚いたんだ。




……もうすぐ麻弥がそこから梨沙を引っ張っていく。


――あたしの隣から。




そしたらあたしはどうしよう。



臆病なままなのは、


あたし?