「砂希にそう言ってもらえると自信持てる」
『……そう?』
でも、梨沙が自分で決めて自分であの勝負を受けたんだよ。
「ペア、よろしくお願いします」
『何をそんなにかしこまって』
あたしがフッと笑うと、梨沙もクスクス笑った。
「何の話?」
あたしと梨沙はバッと後ろを振り替える。
「よっ」
「朝日!?」
朝日と、一夜だった。
「女子なんか騒いでたよなー。あれなに?」
その原因の1人が梨沙だって、朝日は知らないみたい。
……梨沙なんて言うんだろう。
「あたし、勝負するの」
梨沙は朝日にニッと軽く笑いかけた。
「はっ?」
朝日は頭の上にハテナマークが浮かんでるような顔。
「あたし、勝つから。絶対に勝つから」
梨沙はあたしの手をぎゅっと握って、朝日に言った。
朝日と一夜には見えないように、後ろで。
……強がってるけど、ホントは不安なんだよね。
『大丈夫。勝つよ。だから……』
あたしは朝日の目を見た。
朝日はあたしの目を少し見て、それからすぐ梨沙に向き直った。
「そっか。よくわからんけど、頑張れよ」
朝日は、梨沙の頭をやさしくなでた。
「……ありがと」
梨沙は照れながら、でも嬉しそうにはにかんだ。
――よかった。
梨沙の顔を見て、あたしは少し安心した。
