「俺と一夜は、普通の双子で仲も普通で、どこにでもいるような兄弟だった。


だけど、中学校に入って変わった。


一夜は、勉強も、スポーツも、やらせればなんでもできた。


それで顔もいいから、みんなの人気者になった。

特に女子、ね。

別にそこは俺だって気にしてなかったし、どうでもよかった。

俺もそこそこモテたし。


だけど、月日がたっていくうちに、俺たちは比べられるようになった。


一夜の方が何でもできた。

双子だったこともあるのか、よく先生や同級生に比べられた。


“一夜くんの方がカッコいくない?”

“静夜より一夜のができてんじゃん”

“兄より弟のが優秀なのか”


俺だって、人並み以上だった。

でも、一夜はその上だった。


全然追いつけなかった。


周りのやつらはきっと悪気なんてなかったと思う。


だけど、悪気のないその評価する言葉が俺は嫌いで嫌いでしょうがなかった。



比べる必要あるのか?

比べてどうすんだ?

なんで俺ばっかりこんな気持ちにならないといけないんだ?


唯一比べなかったのは親だけだ。

親戚にも比べられたさ。


もう…我慢の限界だったんだ。


俺は、この真っ黒な気持ちから抜け出したかった。



だけど、俺がこんな気持ち抱えてるのに、一夜は何でもないような顔で毎日過ごしてた。


それがウザくて、憎ったらしくて……羨ましくて。


だから奪ってやったんだ。

一夜の友達を。