「おい、砂希!!」
あたしは一夜の声を後ろに、屋上を飛び出した。
また走って、走って、走って。
なんか今日走ってばっかりだな、思って立ち止った。
それからゆっくり歩いた。
そのままボーっとしながら、教室まで行った。
――ガラッ
「あなた、何してたの!?もう10分で1限終わるわよ!?」
先生の声もうまく耳に入らなかった。
そのまま自分の席に着く。
隣はぽっかり空いている。
朝日と一夜の席も空いている。
――あたし、1人か。
でも、後悔してない。
だって、これはあたし自身の意志だ。
あたしの大切な人達が傷つけられるのは、嫌だ。絶対に。
なのに、寂しい。
なんであたしはこんなに感情が出てくるようになったんだろう。
特に一夜には。
梨沙とも喧嘩したり。
朝日に告白したり。
……そっか。
みんながいたからなのか。
――ガラッ
急に開いた教室の扉。
あたしは入ってきた人を見た瞬間、かなり驚いて言葉が出なかった。
「今度は何ですかっ。部外者が勝手に校内に入ってはいけません、出て行きなさい!!」
先生はカンカンに怒っていた。
どこの誰だか知らないけど、部外者だから当たり前だよね。
「俺、ちゃんと身分証明書出して、事情説明して入れてもらいましたけど」
“誰アレ、中学生じゃん”
“でも、背高くてカッコイイ!!”
女子はきゃわきゃわと騒ぎだした。
