――ガラッ


やっぱり教室には誰もいなかった。


あたし達は、自分の席に座った。


「で、昨日の事なんだけど」


梨沙は椅子をガタッとあたしの方に向けた。


『ああ、麻生との?』

「うん、そう。本当に付き合ってるの?」


梨沙の目は、あたしを心配してるような目だった。


――あたしだって隠し事したくない



『うん、本当』


あたしは、なんとなく梨沙の目を見れなかった。


「……ホントに?砂希、なんか隠してない?」


――ギク。


心の音を例えるならそんな感じ。


梨沙ってこんな鋭かったっけ?


『……』



梨沙にだけなら……

本当の事を話しても大丈夫かもしれない。


梨沙ならきっと黙っててくれる。


麻生をどうすればいいのか、一緒に考えてくれる。


そう考えると、あたしの心に光が見えた。


「砂希?」


『あのね、梨沙…』


――…!



あたしに見えた光は、再び闇の中に消えていった。