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無言で歩くあたしと一夜。
「行くぞ」って言われたから付いてきたんだけど、どこまで行くんだろう。
なんか体育館倉庫の裏を通って、遠回りの道を歩いてる。
もちろん生徒なんかいない。
…あたしたち以外。
「悪かったな」
『は?』
一夜はいきなり止まって一言こぼした。
で、なんで謝るの…?
「あそこで俺がお前に助け舟出したら、余計に恨み買うだろ」
……そんなこと考えてたんだ。
確かに、一夜と朝日のことで責められてるのにそこで本人があたしをかばったらなぁ…。
今冷静に考えてみて気付いた。
だけど……。
『助かった。感謝してる』
おかげで、痛くなるはずの頬が無傷。
それに、今回の呼び出しでよくわかった。
呼びだす人たちは、怒るとすぐに手をあげる。
人数が多い時は押さえつけられる。
今度からは一定の距離をとっておかなくちゃ。
――同じミスは繰り返さない。
「そうか。ならいい。じゃあな」
『……』
一瞬だけ笑いかけてくれた一夜は、スタスタと歩いて行ってしまった。
なんか昨日から様子がおかしい…。
口数は少ないし、すぐどっか行くし…。
あたしと関わろうとしない…?
……いやいやいや?
別にあたしには関係ないじゃん。
なんで一夜の事なんか気にかけなきゃいけないんだ…よ…
――バッ!
あたしは急に後ろを振り返る。
――誰もいない。
周りをキョロキョロするけど、やっぱり誰もいない。
『……?』
今、確かに人の気配がした。
誰かがこっちを見てたような…。
……気持ち悪い。
早く教室戻らなきゃ。
あたしは足早に校舎の方へ向かった。