『……手、繋いでよ』



――ダメだ、やっぱりおかしい。


なんてこと言いだすんだろう、あたし。



「今日はやけに素直だな」

『意味わかんない』


もうごちゃごちゃ。


誰かあたしをどうにかして直してくれないかなぁ…。



――ギュッ



あたしの左手が、一夜の右手と重なった。


一夜の手って、温かい。



やっぱお願いしてよかったかも。


――とか思い始めるあたしもどうかと思う。




「頑張ったな」




一夜の言葉に、胸がギュウッと締め付けられた。


それと同時に、目頭が熱くなってきた。




一夜だって、ズルいよ。

なんで今そういうこと言うのかな…。



それからあたしのこめかみあたりに、温かいものがつたって行くのがわかった。




もう今日は壊れたっていうことにしよう。


だから、涙がいっぱい出るんだ。



――そういうことにしとこう。