目があった途端、

その人は黒板の方に目を逸らして、

「せんせー、その公式違うー」

「どこが違うの?」

「プラスじゃなくてマイナス」

「いえいえ、ここはプラスであってます。」

「えっ?!まじ、知らんかった!」

「高遠、ばかでー」

笑い声がいろんなところから聞こえた。

私はポケットに時計をしまった。