2011.02.20
今日新しいホストが入った。
満愛(みちあ)、21歳。
元々あるホストクラブで働いていた。
割と有名なクラブだったから
俺も満愛のことは若干知っていた。
満愛は俺を見ると
愛想よく頭を下げた。
「これからよろしくお願いします」
...同い年なんだけど。
「俺らタメだよな??
敬語じゃなくていいから」
俺が言うと、
満愛はありがとう、と
さらりと笑った。
満愛は長めの透き通る明るい茶髪に、
柔らかい物腰。
すぐに順位も上がるだろうな。
まぁ俺が抜かれることは
ないのだけれど。
ミーティングが終わって、
待機室でコーヒーを飲みながら
雑誌を読んでいると、
タクがいそいそと俺の隣へ
やってきた。
「恭矢さん恭矢さん」
「ん??」
「満愛さん、強いっすかね??」
まだ桐さんと話している満愛を
チラチラ見ながら小声で話すタク。
「さぁ...まぁ元いたとこでも
No.1だったんだし、
結構良いとこいくんじゃね??」
「げー!!マジっすか...
また敵が増えるぅ」
「まぁまぁ。お前も頑張れば
いくらでも客は付くよ。
今だって太客じゃなくても
いっぱい可愛い子ついてんじゃん」
「んー、でもなかなか売上げには
つながんないっすよねぇ...」
「飲む酒の値段は違っても、
みんな大切な客だろ。
ひとりひとり大事にしろよ」
俺がそう言うと、
タクは何故か嬉しそうな顔をした。
「でもやっぱ1番は恭矢さんっす!!」
「当たり前だろ」
俺が笑うと、
へへっ、とタクもはにかんで、
準備に行ってしまった。
単純なヤツ...
俺が苦笑していると、
満愛が待機室に入ってきた。
「恭矢は優しいんだな」
そう笑う満愛に
俺も笑顔を返す。
こいつ...
掴めないヤツ。
そんなこんなだった。
つか今日は満愛のお祝いもあって
ちょっと飲みすぎた。
寝よ。
