マンション…ってことは、あの人しかいないよね。
しかも着信は3件。
なんだか嫌な予感がする。
「ち、ちょっと電話してくるね。」
あたしは萌香と武ちゃんにそう言って、廊下に出た。
こんなことだったら、携帯の番号くらい聞いておくんだったかな〜
あれ?でも、あの人って携帯持ってないかな?
そんなどうでもいいことを考えていると、電話の向こうで音がした。
「…もしもし」
……あはは
完璧、キレてるねこれ。
「……あぁ。もしかして、勝手にいきなり家を飛び出して行った俺のご主人様かな?」
「う…」
何も言い返せない。
別に顔が見えるわけじゃないのに、妙に迫力のあるこの声に
あたしの背筋に冷や汗が流れた。

