* *
「せ、セーフ…!」
「思いっきりアウトだ、アホ。」
「ひっど…武ちゃん。」
「武ちゃん言うな。」
武ちゃんがあたしの頭を叩いた。
てか、いつもなら1時間かかるところを40分で来ただけ誉めてほしいんだけど。
少しむくれぎみに武ちゃんを睨むと、武ちゃんが呆れたようにため息をついた。
「ほら、席につけ。」
「はーい。」
あたしはおとなしく自分の席についた。
あ〜あ。
朝から武ちゃんの授業なんてついてないな〜
武ちゃんっていうのは、武田圭っていう数学の先生。
かっこいいし、優しいから女子に人気。
でもなんでか、あたしには厳しいんだよね〜
あたしだって女子だっつうの!
そんなことを思いながら、机にうつぶせた。

