兄さん?…兄さんってば!

僕を呼ぶ誰かの声で思考は中途半端に途切れた


「んもー兄さんってば立ったまま寝ないでよ!」


僕をゆさゆさと揺らして大袈裟にため息を漏らす

…別に僕は眠ってないぞ☆
講義してみるがあえなく断念して僕は足元にふと目をやる

そこには丸い石が落ちていた


何だこれ…??


「何してんだよ、兄さん?」


僕には女の子に会ってからこの山に栗を拾いに来た記憶も途切れとぎれで曖昧なものでしかなく、ましてや女の子自体何者であったのかさえ解らず仕舞いではある


きっとあの子は夢を食べるバクと一緒で、記憶を食べてしまったのではないかと思う


この丘にはまだ知らない、知らなくてもいい謎があるのかもしれない