俺はいつの間にか顔を覆っていた手をそっと退けた。そして瑠華の顔をまっすぐに見つめた。


でも…あれ……?


なんだろうな。視界が滲んで、瑠華の姿がはっきりと見えない。


瑠華は俺の頬に手をやると、指をすっと動かした。


慈愛の満ちた微笑を湛え、何度も俺の頬を拭う。




そのとき初めて



俺は自分が泣いているのだということに気づいた。





「俺



好きだよ。



19年前も、今も―――変わらず」







「うん」




瑠華は小さく呟き、彼女もまた泣き出しそうに瞳を揺らした。


返事はか細く聞き取りにくかったけれど、顔には微笑みを浮かべている。






「愛してる。





いつか。






いつか俺と結婚してください」