緑川の開いた目尻に涙が再び浮かんだ。
「相手に合わせようとするのはいいことだけど、依存するのとはまた別だ。
自分を持って、ありのままの君を受け入れてくれる人と恋愛すべきだよ。
自分は一生彼氏ができない、結婚できないなんて思うな。
前向きに生きてりゃ、元来の君を見てくれる人に必ず出逢う筈だ」
両肩に置いた手の下で、緑川の華奢な肩が震えた。
「……ふっ…」
小さく声を漏らすと、緑川は顔を覆った。
「…ごめっ…ごめんなさぃ……」
あたし…あたしっ！…部長に酷いこと…
嗚咽の合間に緑川は言葉を吐き出す。
ホントに、キミには色々驚かされたよ……
だけど、
涙は緑川の中に溜まった醜いものや悲しい感情を押し流すよう、あとからあとから溢れてくる。
それを見て、
俺は緑川の頭を撫で、心の中で小さく謝った。
初めてこんな気持ちになった。
君の気持ちに応えられなくてごめんね。
俺の好きな人は、俺を待っているんだ。
待って……くれてるといいんだけど…
