―――……
「是。给您添麻烦,不过，那样愿望。（―――はい。お手数をおかけいたしますが、そのようにお願い致します」
「Yes. I hope like that. Well, goodbye．（………ええ、そのようにお願いいたします。それでは）」
それぞれに電話を切って、俺たちは何となく顔を合わせた。
そしてどちらからともなく笑い出す。
お互い―――完全に仕事を切り離せないようだ。
良いのか悪いのか……
俺は―――仕事をしているときの瑠華が好きだ。生き生きしているし、やりがいも感じているだろう。
でもそんな彼女を見てると不安になったりもする。
東星紡の専務との打ち合わせ、１０月１１日の約束。
彼女は俺にそのことを喋ってはくれなかった。
それらの事実を繋げると一つの答えになりそうなのに、俺にはそれが何だか分からない。
いや……考えたって無駄だな。彼女がそのことを直接俺に話してくれなければ意味がないんだ。
そんな気がする。
ねぇ俺ってそんなに頼りない？俺と居て安心できない？
そんな不安が、俺の中を焦燥に満たし、自然俺の手は瑠華の手元に移動していった。
瑠華の指先にそっと触れると、俺は彼女の手をそっと握った。
相変わらず冷たい手だった。
幸いにも前を歩く瀬川や緑川、佐々木をはじめとする連中はだいぶ前の方に居る。
誰もがそれぞれの会話に夢中になって、こちらを振り返る様子などかけらもなかった。
だから俺を余計に大胆にさせる。
俺は瑠華の手をぎゅっと握ると、彼女の指の間に自分の指を滑り込ませた。
