Fahrenheit -華氏-



店内は明治浪漫の西洋風な屋敷をイメージしたのか、木の落ち着いた色合いとインテリアが置かれている。


そう言えば、会社の居酒屋だってのに、俺来たの初めてかも。


「いいお店ですね」


瑠華がおしぼりで手を拭きながら、キョロキョロと辺りを見渡している。


今度来ない?二人で……


と甘い会話をしたいけど、そうはさせてくれなさそうだ。


慌しく頼んだ最初の一杯ビールのジョッキ、と女の子たちのカクテルが運ばれてきて俺たちは乾杯した。


「「「かんぱーい!!!」」」


もちろん瑠華は最初の一杯もビール。


キュン。男らしいぜ♪


最初の30分はしめやかに飲み会が行われた。


互いの仕事内容などを、堅苦しくない程度で喋りあい、それぞれが感心したり驚いてみたり。


部が違うと、それなりの暗黙のルールとかも違い、それを聞くことは結構おもしろい。


ってか勉強になる。


だがしかし!


1時間も過ぎると、場は乱れ始めた。