Fahrenheit -華氏-



店に到着すると、経理の連中はすでに20人ほど入りそうな個室で俺達を待っていた。


「「「お疲れ様で~す♪」」」


と黄色い返事を寄越してきたのは、可愛い女の子たち。


媚びるような視線の裏に、底知れない何か企みのようなものを感じて俺の背中にぞぞぞ、と寒気が走った。


「「「お疲れ様です」」」


と野太い返事の野郎どもの視線はほとんどが緑川の方に向かっている。


瑠華を狙ってるのは、佐々木だけだと言う事実にとりあえずはほっと胸を撫で下ろす。


経理の連中は男4人、女3人てとこだ。


プラス外資の四人。


何となく流れで……


と言いたいところだけど!俺は隅の席に瑠華を追いやり、ちゃっかりその隣に腰を落ち着かせた。


佐々木が悔しそうに、瑠華の前に腰を降ろす。


だがちゃっかりしてるのは俺だけじゃない!緑川もそそくさと俺の横をキープしたってわけだ!!


先が思いやられる……


ちょっとため息を吐いて、俺はおしぼりを手にとった。