Fahrenheit -華氏-



「よく言うじゃないですか。車の運転が上手な人は床上手でもあるって。あれ本当ですね」


にっこり笑いながら、瑠華が俺の肩に頬を摺り寄せてきた。


それって…俺は上手いの?下手なの??


どっち―――!!?


そんなことをあわあわと考えてると、瑠華はマイペースに口を開いた。


「…………気持ちよかった…前から思ってたけど、啓は女性を悦ばすのが上手ですね。ついでに言うと車の運転も」


「へ?えぇーーー??」


そりゃ男としては最高の賛辞でして!!


うわっ!どーしよ!!


俺、顔から火が出そう!


「……でも、あたし経験があまりないから…啓を喜ばすことがあんまりできてないじゃないかって気がします」


「いやいや…そんなことないよ。キミは充分過ぎる程です♪」


充分過ぎる程綺麗で、ついでに言うと充分過ぎるほど体がいい!


ってこんなこと正直に言ったら瑠華にまた怒られるだろうな。


「でも瑠華から誘ってくるのって珍しいよね?どうしたの??」


俺は話題を変えようとして、ベッドに腕をつくと彼女を上から見下ろした。


俺の腕にしがみついていた瑠華は目だけを上げて見上げると、


「部長の……啓の、私服姿が何か色っぽくって……」


そう言って恥ずかしそうに顔を俺の腕に埋める。


うわ!!


ヤバイ!それすっげー嬉しいかもっ!!!


「ラブ♪」


小さく言って俺はぎゅっと瑠華を抱きしめた。