柏木さんがどこかへ行ってしまうと、俺は急に心臓がドキドキと鳴った。
柏木さんに秘密が多いことは今に始まったことじゃないけど、今から聞くことはとんでもない事実な気がして胸騒ぎが治まらない。
でも
決めたんだ。
何があろうと彼女を諦めない。
何を知ろうと、彼女の隣に居たいと―――
柏木さんは五分ほどで戻ってきた。
白い大きなシャツだけを羽織った裾から白いすんなりした脚が覗いていて眩しいほどだったが、その足取りは危ういものだった。
彼女は少し大きめのダンボール箱を一つ抱えている。
俺は急いで立ち上がると、彼女の腕からダンボールを受け取った。
ほんの一瞬触れた手はいつも以上に熱を帯びていた。
まだ熱があるんだろうな…
かわいそうに。
柏木さんは俺の隣に座ると、床に置いたダンボールの蓋を開けた。
ちらりと中を覗くと、雑誌や本の類い、それからアルバムのようなものがちらりと見えた。
「……何から…話しましょう……」
珍しく歯切れが悪いし、多分自分でも要領を得てないんだろうな。
たぶん風邪を引いているせいもあるだろうけど、それ以前にこのタイミングで話すつもりがなかったんだろう。だから言葉を用意してなかった。
そんな風に思った。
「ゆっくりでいいよ」
俺は彼女の手に自分の手を重ね、ほんの少し微笑んだ。



