サラリーマンってのは大概いつも疲れてるもんだ。


小さい頃友達やクラスメイトの父親がいつも疲れてくたびれ切っているのを知っていた。


でも俺の親父は違う。


いつでも肌艶は良かったし、エネルギーに満ち溢れていた。


親父は仕事を愛していた。


妻よりも、血を分けた子供よりも。


家庭を顧みず仕事に没頭する親父を、子供心で恨んだこともあった。


他の家庭が、休みの日になるとどんなに疲れていても父親とャッチボールをしてくれること。父親参観や、運動会に出席する父親たちを見て羨ましかったりする。


でも、それはいつもほんの一瞬で、俺にはその分常に母親が俺の隣に居た。


過保護という程でもなかったが、何かあると俺は母親に真っ先に相談し、いいことも悪いことも共有し合ってきた。


母親はそんな懐いてくれる俺を随分可愛がってくれたんだ。


彼女を大切にしない父親に代わって、その愛情のほとんどが俺へと注がれた。


子供心に思ったものだ。


将来は絶対あんな父親にはなるまい―――と。


でも、俺は今そんな親父の背中を追いかけてる。


そしていつか越えてやりたいと思っている。





でもそんな俺を見て、今の母親はどう思うだろう。


悲しむ?喜ぶ?―――それとも何とも思わない?



分かんねぇな。


知りたいと思う反面―――






俺は




やっぱり知りたくない。