Fahrenheit -華氏-



諦める―――?



それとも貫く??







月曜日―――


何となく浮かない顔で出勤した。


アルコールはすっかり抜けていたけど、一日中悶々と柏木さんのことを考えていて、頭と心が痛い。


何となく気まずい思いで外資物流事業部のブースに顔を出すと、すでに出勤していた柏木さんがキーボードを指で叩きながら、ちょっとだけ顔を上げた。


「おはようござます」


「……お、おはよ…」


俺の返事にキーボードの手を休める。


「どうかされたんですか?調子が悪いみたいですけど…」


「え!いや…大丈夫!!」


俺は慌てて手を振った。


「そうですか。二日酔いなら薬ありますよ?」


「ああ、こないだの頭痛薬……あれ、効くよね」


抑揚のない声で頷いて席につくと、柏木さんがちょっと心配そうに眉を寄せていた。


「本当に具合悪そう……風邪でもひかれたんですか?」


「え…?いや!」


俺は慌てて手を振った。






柏木さんの過去に触れて、勝手に心を悩ませている俺のことを知らずに



彼女は本気で心配してくれている。









心配そうに眉を寄せた柏木さんはやっぱり可愛くて―――




それでいて優しい。