指輪の交換もすんなり行われ、いよいよ誓いのキスだ。


う゛


これっていつ見ても恥ずかしい―――ってか、俺は自分のときにするのは絶対ヤダな。


大勢の前で愛を誓うのも、何だか気恥ずかしいし。


隣の柏木さんの頭を通り越してちらりと裕二を見ると、こいつも同じように苦い顔をして新郎新婦の方を目配せしていた。


裕二―――やっぱお前も同じなんだな。


不謹慎にもちょっと笑ってしまったら、隣の柏木さんにちょっと睨まれた。


気を取り直して前を向くと、


桐島がマリちゃんの長いベールをそっと上げ、マリちゃんが桐島を見上げてるところだった。




誓いのキスなんて―――そんなこっ恥ずかしいこと……



なんて思ってたけど―――





桐島とマリちゃんのキスは








とても神聖に見えた。





これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓います。





桐島の声が聞こえた気がした。




俺はその言葉に自分の声を心の中でそっと重ね、隣で真剣な表情をして式を見守っている柏木さんに届いたらいいな―――と願っていた。