「わ!誰かと思ったら柏木さんですか!!」
佐々木も柏木さんのスーツ姿にびっくりしたように口を開けている。
「僕はてっきり部長が女性を連れ込んだのかと思ってました」
こそっと俺に耳打ちする。
「アホ!んなことするか!!」
てか連れ込む女なんていねぇよ!!
そんな俺の険悪な視線をかわして佐々木はのんびりと俺を見る。
「あ、朝ごはんですか~?おいしそうですね」
「佐々木。お前にこれやる」
俺は食いかけのおにぎりを佐々木に無理やり押し付けた。
佐々木の失礼な発言も気にならないほど、俺は今、ときめき過ぎて腹がいっぱい……いや、胸いっぱいだ。
「え?ってこれ食べかけじゃないですか」
佐々木はぶつぶつ言ってたけど、俺のおにぎりに口を付ける。
「……おいしいですね」
意外…と言った感じで佐々木が目をぱちぱちさせる。
「部長が作られたんですって」
柏木さんが佐々木をちょっと見上げる。
「そうなんですか。部長料理上手ですもんね」
「知ってたんですか?」
「はい。たまに部長の家でご馳走になりますから♪」
「か、柏木さんも今度食べに来る??」
会話の流れが良かったので俺は思い切って言ってみた。
「ええ……では、今度…」
うっしゃ!
柏木さんの為にご馳走作るぜ!
んで持ってその後に柏木さんを食べられたら……
なんて黒い考えを浮かべていると、
「じゃぁ僕も一緒に」
と佐々木のこれまた黒い笑顔が、俺の視界に入ってきた。