何故だろう…… 俺は柏木さんの笑顔を見るとドキドキする。 心の中がぽかぽか温かくなって、きゅっと縮まるような心地よい痛みを覚えるんだ。 彼女の過去を知りたい 彼女の全てを知りたい――― 女にそんなことを思うことなんて初めてだ…… 「それは恋だな」 「それは恋ね」 裕二と秘書課の綾子に声を揃えて指摘された。 二人の指摘に俺は睨んで否定するどころか、おろおろと戸惑い眉を寄せて情けなく見ることしかできなかった。