Fahrenheit -華氏-


柏木さんとの二度目のキスは彼女の方から……


柔らかい唇の感触とほんのりワインの味を感じた。


やっぱり違う。


心臓が引っくり返ったようにドキドキして、体が熱くなる。


柏木さんの唇が離れると、どうしようもなく寂しくて今度は俺が彼女を引き寄せ半ば強引に口付けした。


角度を換え、何度も何度もついばむように。


そのうちそれだけじゃ足りなくて、舌を彼女の口腔内に侵入させた。


柏木さんは嫌がることなく、俺に応えてくれた。


舌と舌とが絡み合い、いやらしい音が合わせた唇から洩れる。


柏木さんの体を抱きしめた腕に力が入り、堪らなくなって俺は柏木さんをソファに倒した。



崩れるように……でも、決して柏木さんがソファに背をぶつけないよう俺の腕を下に敷いて。



「……部長」


柏木さんが小鳥のように目をぱちぱちさせ、俺を見上げてくる。


長い睫が上下して、白い頬に影を落としていた。


「んー……?」


俺は適当に返事を返し、柏木さんの細い首筋に顔を埋める。


真っ白できめ細やかな肌に、口付けを落とした。


もう……止まらないかもな…………





「あの……ここで、ですか?」




遠慮がちな柏木さんの声が聞こえ、俺は顔をあげた。