柏木さんが男だとか女だとか、その言葉にこだわっているのは知っている。


別に俺は女性を軽視した発言はしていないけど、柏木さんにとってやっぱりそれは良い言葉ではなく…


柏木さんは案の定ちょっと眉を吊り上げた。


スイッチが入る前に…


俺は、勢い良く柏木さんの腕を掴み上げた。


「な…、何するんですか」


驚いた柏木さんが目を開いて俺を睨む。


「部長!暴力は…」佐々木がガタガタ椅子を鳴らして、勢い良く席を立ち上がった。


「お前は黙ってろ」


俺は佐々木を一瞥すると、そう声をあげた。


柏木さんの手首は細かった。


女独特の…力を入れれば簡単に折れてしまいそうな華奢な腕。


俺はそういう女の腕が好きだ。


俺は柏木さんの目線になるよう、ゆっくりその場にしゃがみこんだ。


柏木さんは訝しげに眉を寄せた。





「こうやって……。男なんて簡単に女性を捕らえることができる。




柏木さんは男だとか女だとか、そう言う固定概念を嫌う人だって分かってる。性別なんて関係ないってことも分かる。


でも、男には力があって…大半の女性はそれに抵抗する力が弱いんだ。





仕事の面では男顔負けに仕事をこなす柏木さんを俺は頼りにしてるし、尊敬もできる。


でもそれと同じように俺は一人の人間として柏木さんが好きなんだ。


だから柏木さんに何かあったら俺が悲しい…。俺だけじゃない。佐々木も悲しむ」