あの日の約束














結城先輩とあたしが、

俗にいう“恋人”になったのが


確か11月だったから‥‥




気付けば付き合って8ヶ月目。






「結局、お代わりいらないの?」






夏休みを目前に控えた今日は


何とも暑い水曜日で‥





「いりますよ。だからこの手をのけて下さい。」





このままじゃ店員さんを

呼べないじゃないか。





「気にしなくていいのにー」



「気にしますよ。」



「照れ屋さんだねぇ」


「免疫ないだけです。」





なんてったって‥



結城先輩があたしに

触れるようになったのは

つい最近になってだ。




なんでまた突然、


こんな暑い時期にベタベタと‥





「アイスコーヒー2つお願いします。」



「かしこまりました。」






あたしが悶々としてる間に

さっさと注目を済ませる姿は


学校での活動を浮かばせる。







生徒会副会長で


頭が良くて


気持ち悪いほど

性格もできた人で








「お待たせいたしました。」


「ありがとうございます」





‥‥持ってきた女の子の

ほんのり赤く染まった顔。






「はい、どうぞ。」



「‥‥っ」





―――なんであたしなんですか?





「‥ありがとうございます」







喉まで出かけた言葉を


手渡されたアイスコーヒーで

お腹の底に流し込んだ。






「そんなに喉乾いてたの?」




またクスクスと楽しそうに笑って



ほんと変な人ですね、先輩。