――その日は雨だった。 昼間から土砂降りの冷たい雨が、この春と呼べる時期に降り注ぐ。 そんな日に、私、矢萩ミカは浴びるように酒を飲む。 テキーラのウイスキーを。 原因は仕事のトラブルだった。 デザイナーをしてるミカは新しいチェーンカフェのデザインを任されていた。 この仕事に就いてまだ五年しか経たない23歳。 親の会社の推薦で独立した。 だから周りから未熟だと言われるコトも多かった。 でも実力は確かにあった。