「ね…こ?なんで猫が喋るの?」

私は思わず訪ねた。


「珍しいですか?私にはあなたが今そうして窓枠に脚をかけていることが珍しいのですが。」



思わず顔が赤くなる。


「こ、これは…」


言葉に詰まる。

「おやおや、言葉に出来ないことですか。それは実に興味深い。」


トンッとこちら側の窓枠に飛び移り、黄金色に輝く眼でジッと私を見つめる。


「キャッ」

「おやおや、レディに私が粗相をするとでも?」


そう言いながら黒猫はゆっくりと腰をおろす。


「いや、そうじゃなくて。」

もう訳が分からない。


「改めて、こんばんは。素敵なお嬢さん。」


…どうやら死ぬのはお預けのようだ。