街の人通りは夕方、陽が落ちるにつれて次第に多くなった。


今までゆったりとくつろいでいた男の人もさっと席を立ち、そろそろ店じまいにするからと言って、回していたレコード盤から針を外した。

いきなり慌ただしくなってきたな。




「楽しんできな。また明日来るといい。」



私よりずっと楽しそうな男の人は店じまいを慣れた手付きで済ましていく。


一人、また一人とカウンター席を立ち店の入り口の鈴を鳴らす。

おそらくこの人達も今夜の祭りに行くのだろう。


「私達も行きますか。」
ひょいと顔を出して話しかけてくるクロは口角をクッと上げて笑っている。
行かないなんて言ったら怒るだろうな。