今日初めて会ったのにこの男の人は見ず知らずの私に親切にしてくれる。


お父様から「人間は意地汚くて醜い生き物だ」と
教えられたけれど
そんな人は少なくとも私の周りにはいない。



「で、お嬢ちゃんは祭りに行くのかい?」


「行ってみたいです。とても楽しそうだし。」



「そうするといい。夕方陽が暮れるまでゆっくりしていきな。それ以降は俺も祭りに行くから店を閉める。」





こんなに優しくしてもらっていいのか私は戸惑っていた。
でも、それもいいか。
そう思い残っていた紅茶をグビッと飲み干した。