心地良い音楽が耳に届いてくる。

こういう所で食事をするのは初めてで、食事が出来るまでの間どうしたらいいのか分からない。



そう思っていた時にその優しい音が耳に届いてきた。



「きれいな音色…」


「ご存知なのですか?」


「私音楽にあまり興味ないから今日初めて聴いた曲なんだけど、すごく優しい音。」


店内は他の人の会話で賑やかなはずだが、私が座っているこの場所だけはとても静かに感じる。

音の発信源は古びたレコードだと私は気付く。



見掛けはもう壊れているけれど、それは見掛けだけだ。

音色は今もはっきりと聴こえる。


「お待ちどうさん!!」



器いっぱいに盛られた料理がテーブルにドンッと置かれる。


…私に全部食べろと?


それよりこの音楽の事を聞きたい。


「あの…この曲って…」


「ああ、これかい?」


「ジャズミュージック。」