家の表側には青々とした木々が鬱蒼としている。

日に日に暑さは増しているが、この場所は木漏れ日が心地良い位だ。



「私はこの森が大好きです。」


首から上をバッグの外に出してクロは静かに呟く。


「私はこの森と共に生きてきました。ただ、少々永く生きすぎた…」





私は知らな過ぎる…



人のことも街のことも。
そしてクロのことも…



昨日だってそうだ。


クロがいきなり倒れた時何をすれば解らずに見守ることしか出来なかった。



だからこそ知りたい。


知ったことで後悔することもあるかもしれない。


それでも私はかまわない。


「行こう、クロ。」


「そうですね、のんびりし過ぎました。」



時間は沢山ある。
少しずつでいいんだ。

そう、少しずつで…