窓から覗くだけだった景色が今は目の前にある。

子供たちが走り回っていた草地に私は今立っている。


焦がれていた場所に
私はいるのだ。



「如何ですか?憧れの外の世界は。」




「なんか、実感無いな。」


「ふふっ、それはそうでしょう。まだ降りただけですから。」



四角い窓はまだ頭上にある。


「さぁ、ここに居てはいずれ気づかれてしまいます。こちらへ。」



足早にクロが歩き出す。その姿は明らかに私と同じ人間にしか見えない。


「どこに行くの?」


「付いてきていただければ分かりますよ。」




その笑顔はやはり人間以外のものには見えない。