夜が明ける。
「おっと、もうこんな時間ですか。」


ヒョイッと隣窓に飛び移る。


「もう帰るの?」


「私は黒猫。私に朝日は似合わない。」


上りかけの朝日に照らされ、リンッと鈴を鳴らしクロは私に背を向ける。


「また今夜も…」

「いいよ。」


クロが話終える前に私が答える。


「ふふっ、ではまた陽が沈んだ後で。」


「あなたは優しい御方だ。」


もう一度鈴を鳴らし
クロは壁の向こうへと消えた。