「あなたってそんな風に笑うんだ。」


私もつられて笑う。


「猫だって笑いますよ。悲しい時にはもちろん泣いたりもします。」


「知らなかった。」


「一つ賢くなりましたね。」

そしてもう一度微笑む。

「ようやく表情に明るさが出てきましたね。」


恥ずかしくて私は顔を赤らめる。


黒猫は口に何かをくわえている。
ヒョイッとこちら側の窓に飛び移る。


「それ、何?」

「気になりますか?」



私は見たことのないソレに興味津々である。


「うん。気になる。」


黒猫はくわえていたソレを窓にそっと置く。


「万華鏡というものをご存知ですか?」


「万華鏡?」



目の前に置かれてある丸い物の名前だろうか?



「ご存知ないようですね。」



「これの名前なの?」


「いかにも。私からのプレゼントですよ。」


驚いた。まさか黒猫からプレゼントを貰うなんて。



「どうして私なんかに?」


「私が持っていても使うことが無いですからね。」


「それに万華鏡はあなたが気に入ると思いまして。」



黒猫から見た私は随分ひどい顔をしているだろう。
状況が読めない…