部屋から逃げようとするあたしの腕を掴むコイツ。


「今の、嘘じゃないよね?」


後ろから聞こえる声は、驚きの色が含まれる。


「こんな嘘言いにわざわざ来るわけない。」


教科書借りにも来るわけない。


「こっち見てよ。」

「やだ。もう帰る。急にごめん。
彼女とお幸せに。」

「待てって。
彼女とは別れた。」


そっか。

だからさっき泣いて…って、えぇ?!


「別れたぁ?!」



勢いよく振り替えると、そこには笑顔。

あたしが惚れた、アイツの笑顔。